季刊 市川モンダイ

総事業費1億円?
村越市政の目玉政策なのか!? 
市議会で暴かれた、
いちかわ未来創造会議「社会実証実験」
底無しのデタラメ実態

VR ゴーグルをつけてプールでゲーム
VR ゴーグルをつけてプールでゲーム
 これは目玉政策ではなくて、呆れ果てて驚愕のあまり目玉が飛び出す政策ではないかーー。いちかわ未来創造会議が立ち上げた仮想会社『ICHIKAWA COMPANY』が取り組むプロジェクトの一環として実施された「社会実証実験」。立て付けのややこしい事業なのだが、昨年12月の定例議会で この実験のひとつである「高齢者、障害者向けプールVRゲーム」の中身が極めていい加減だったことが暴露された。
 当初の計画はこうだ。重力から解放された水中でVRゲームをすると、日常生活で姿勢やバランスを保つのに用いるインナーマッスルが使われるため、通常の運動が難しい高齢者や障害者も安心して運動機能を向上させることができる。高齢者や障害者を中心とした被験者90人について、筋電図で筋肉の動きを計測、どの筋肉がどれほど使われたかを数値化し、市川発の高齢者用エクササイズとして全国的に普及するーはずだった。
 質問したのは越川雅史市議だ。
 「市の男性職員11人がプールに入って、VRゲームをやっただけ。筋電図の計測もなければ数値化もない。当然、インナーマッスルが使われたかどうかを確認するすべもありません。事業者から提出された成果報告書を見て驚きました。被験者にアンケートした結果は『楽しかった』『時間が短く感じた』『もっと長く続けたかった』だけ。これをもって『プールVRが身体と脳にポジティブな影響を与えることが証明できた』というんですか」
 プールには底があるが、このデタラメぶりは底無しではないか。
 いちかわ未来創造会議は、村越祐民市長が就任後、自らが提唱し、設置された。「会長に始まりメンバー全員、村越市長の一声で集められ、職員らは訳がわからなかった」(市役所関係者)というほどの肝いりである。問題の社会実証実験は、「健康なまちづくり」をテーマに地域が抱える課題を解決し、地域住民にとって便利で暮らしやすいまちの実現を図りながら、研究者やスタートアップが抱える実証フィールドの不足を解消し、科学・技術の社会実装とさらなる発展を目指す、とされている。未来創造会議が先端技術の実証実験を検討しているスタートアップ企業や研究者を公募し、24件の応募から13件が選定され、そのうち3件に計画が優秀だったとして賞賜金50万円が贈られた。
これが成果報告書の全て。与野党分かれて議論するのも馬鹿馬鹿しい

電通丸投げのブランディングに3000万円

 実は、この3つのうち、もうひとつ、うまくいっていない。「コオロギ粉末の経口摂取による腸内環境改善効果の実証」というものだ。
 コオロギを新しいタンパク源として養殖し、食品としてブランド化しようとする事業者の試みだが、これも昨年9月の定例議会で倫理委員会での調整が難航するなど、全く進んでいないことがわかった。
 これらの金はどこから出ているのか。当然、市川市の財政からである。
 市役所関係者がいう。
 「令和元年度の予算では未来創造会議のブランディングで3000万円、社会実証実験などの運営委託で2850万円、さらに未来創造会議の事務局は、市川市役所の企画部企画課が担当していますから、厳密にはその人件費や雑費も負担していることになる。令和2年度も同程度の予算が計上されました。コロナ禍で執行されていない分が決算で出てくるとは思いますが、これにかかった費用はざっと1億円?」
 そもそも、社会実証実験のプロジェクトとして認定された13事業のうち12が市川市に事業所をもっていない。
 先の関係者が続ける。
 「賞賜金というなら、そもそも市内の事業者に贈られるのが筋だし、他のプロジェクトも多くが実施に至っていません。ブランディングは電通に丸投げされ、イチカワ・カンパニーというプロジェクト名とコンセプトの設定、ロゴデザイン、ホームページを作ってもらったのですが、これだけは立派にできました。何せ3000万円もかけて作ったんですから」
 仏作って魂入れず、とはまさにこのことである。