市川市東北部に位置する市川市市民プール。正面から左側奥に小さな雑木林があるのだが、ここは市の所有地ではない。数十筆にもなる細分化された小さな私有地の集まりである。この土地を村越市長就任から約半年後の平成30年11月、周辺の土地拡充のため市川市が取得検討地として公表したのだが、この中に、村越市長の実父である村越勝氏の所有する土地が2 筆あることがわかった。
市役所関係者が明かす。
「図(図1)でもわかるように、ちょうど食い込むように市の所有地の間に入り込んでいます。道のつながっていないいわゆる囲繞地(いにょうち)と言われる土地で、使いようがない。市としてもここを活用できたら便利だとは考えてきたのですが、村越さんの土地のような問題のあるケースがあり、平成26年当時は、取得を諦めた形で構想を進めることに決定したのです。ところが、息子さんの祐民さんが市長になって程なく『あの土地、なんとかしたいんだよな』などと言い出したと聞きます」
そうこうするうちに、図2のような改訂版が策定されたという。民間企業の社長なら、有無を言わさず背任だろう。
しかしこれで驚くのはまだ早い。下に示した登記簿謄本をみて欲しい。なんと、平成16年6月18日、市川市が差し押さえているのだ。
先の関係者が解説する。
「時々、子供の保育料などの債権がありますが、この場合は税金でしょう。村越市長のお父さんは元市議ですから、市役所でも名前は知られている。税金も払わないで、どうして外車に乗ってるのか、と昔から有名でした。前の大久保(博)市長は、村越さんが市長選に出馬すると聞いて『親父の土地を市に差し押さえられてるのによく出馬するよな』と呆れたそうです」
季刊 市川モンダイ
発掘スクープ!
村越市長は市川市に差し押さえられた村越家の土地を
市川市に買わせようとしていた!
図1 平成26年11月に策定された北東部スポーツタウン構想の予定地。概要説明に「新規購入予定地はない」とキッパリ書かれている
図2 平成30年11月に改訂された予定地。青い部分が取得検討地となった
図2 平成30年11月に改訂された予定地。青い部分が取得検討地となった
問題の土地の所有者、勝氏は
村越議員の第一秘書だった!
その時の様子を知る近所の住人がいう。
「競売になってもなかなか立ち退かなかったので、裁判所が強制的に立ち入りしたそうです。すると、留守だと思って入ったら、奥の方に祐民さんがうずくまっていたと。この辺りでは有名な話です」
父親の負債とはいえ、本人に全く責任がないともいえない面がある。実は、父・勝氏は、祐民市長が旧民主党の衆議院議員だった時代、第一秘書をしていたのだ。例の囲繞地を市川市が差し押さえた頃、少なくとも直前には、そうだった。さらに、金融的には、実に不可解なことが、登記簿謄本からわかった。 この差し押さえられた土地を担保に、別の親族が、当時のUFJ銀行市川八幡支店から3億円近くの借入をしているのだ。
ある金融庁OBが言う。
「当然ですが、普通は差押が解除されていない不動産は担保になりません。どうしてそうなったのか今調べようもありませんが、祐民氏が衆議院議員だったから、とは言えないまでも、この不思議な融資がその頃になぜか実行された、と言うことは事実ですよね」
回りくどい解説だが、実際そうなのである。
衆議院議員時代の村越市長を知る民主党関係者が言う。
「当時もお金はそれほどないはずなのに、クレジットカードの支払い請求が数百万円きたことがあったそうで、秘書が呆れていました。もちろん、それはお父さんではない秘書ですが。市川市長としてどうなのか知りませんが、同じようなことを市の財布でされたらたまったものじゃないですよね」
それにしても昨年4月突然差押が解除となっている。市に売却するためきれいにしたのだろうか。
右のようにいろいろ質問したが回答はない。
村越市長への質問状(抜粋)
- テスラ車にかかった損失につき出された住民監査請求はリース契約から1 年経過していることを理由に却下されたが、これは解除までの期間とするのが妥当ではないか。
- テスラ車は現在、政務で使用されているはずだが2019年の政治資金収支報告書に記載がないのはなぜか。
- ワルデン社契約の駐車場代滞納につき、退去勧告が出ていると聞いたが本当か。
- 市川市民プール脇の村越勝氏所有の囲繞地を市で取得検討しているが、これについてどのような考えか。
- その土地は平成16 年6 月市川市から差し押えられ、昨年4月解除となっているがこの経緯は如何に。当時、村越市長は衆議院議員で、実父の勝氏は第一秘書であったことから、管理監督責任も存在したと思われるがいかがか。
政官要覧(政官要覧社刊)2004 年春号より